- 話す時に詰まった感覚、どもる時がたくさんある。
- 人前で話すのが怖い
今回はこういった悩みを持つ方向けに自分の体験談をお話します。
吃音は人によって程度も種類も異なるので、解決策を提示するのは難しいですが、実際に自分が体験したことと自分がどうやって克服をしていったかについて赤裸々に書いてます。
この記事のゴール:吃音の実体験を話し解決策のヒントを得ることができる。
自己紹介
- 96年生まれ現在28歳
- 職業:Webエンジニア
- 趣味:野球、格闘技観戦、お笑い
- 性格:わりと前向き
- 学生時代:目立ちたがり屋、みんなの前で話すのが好き
至って普通の20代です。
吃音になった時期
自覚し始めたのは小学5年生(当時10歳)の時です。
学級活動の一環で、グループごとにニュース番組を作るプログラムがありました。
ニュースの取材をする人、原稿を書く人、映像を取る人、カメラの前で話す人と、それぞれ役割分担が決められていました。
僕はその時カメラの前で話すアナウンサー役でした。そこで初めて、今まで感じたことのない「言葉が出てこない、話せない」感覚になりました。
言葉がうまく出ないと自覚した時の感情
最初は自分でもわからず「ごめん、ちょっと緊張してたわ!」といって周囲にごまかしてました。
ただ、日を追うごとにその症状が強くなり、周りも大丈夫?や、もっとゆっくり喋ったら?など気遣いとアドバイスを貰うことが増えました。
当時は、周囲のそういった反応に対してすごく申し訳ない気持ちになり、自分は話すことすらできないダメなヤツと自己嫌悪になりました。
恥ずかしさと、自分の能力のなさと、周囲に余計な気遣いをさせたくないプライドと、単純に気付かれたくないという焦りなど、いろいろな感情がありました。
自分が経験した吃音の具体的な症状
自分の場合、吃音といいつつ特段病院に行ってはないので、本当のところはわかっていません。
ただ症状からすると吃音かなと自己判断するに留まっています。
※ここからは僕個人の感想なので伝わりづらいかもしれません。
具体的な症状
- 今から話してください!といった用意された環境になると、途端に話しづらくなり言葉が詰まる
- 数秒前まで普通に話せていても、いざ発表のタイミングが来ると話せない感じ
- 例:グループの発表会、司会の台本を読む、音読会での発表
- →特に音読の時間は辛かったです。「人前で話す」「話す内容が決まっている」「今から話してくださいの状況」が全部入だったので逃れようがなかったです。
- 特定の50音が詰まる:僕の場合下記の確率で言葉が出にくい・出ませんでした。
- あ行:90%
- か行:60%
- さ行:15%
- た行:25%
- な行:95%
- は行:40%
- ま行:80%
- や行:30%
- ら行:10%
- わをん:70%
感覚ですが言いやすい行と言いにくい行が存在していました。
特にあ行、な行が言いづらかったです。あ行に関しては母音なので致命的でした。
- ありがとうございます
- おはようございます
- お願いします
- おやすみさい
- 野田さん、野口さん、中嶋さん(名前系)
といった単純な挨拶や名前を呼ぶときも例外なく詰まってしまいました。
特に名前を呼ぶ時に詰まるのは本当に苦しく申し訳ない気持ちでいっぱいでした。
- カラオケで歌うときは全く吃音が出ない(不思議)
- 深呼吸を挟む、言いやすい行から話すなど工夫すれば一定話せるようになる
僕がピークで吃音があったのが小学6年生〜中学生の時でしたが、その時は上記の症状がランダムに高頻度で発生していました。
実際の吃音エピソード
- 小学生の時野球クラブに入っていた時監督の名前が呼べなくなる。
- 「〇〇監督!」と言っていたのを「監督!」と言うように変更した。
- 中学生の時公式戦の場内放送を担当して、他校の人の名前が呼べず咳払い、えぇ~などの相槌を打って話して後で顧問に叱られる。
- 友達に自分よりひどい吃音の子がいて、その子が他の同級生がからかってるのを見ていて、胸が苦しくなる。(自分はそこの間に入って注意ができなかった)
- 大学時代飲食のバイトをしていてレジ打ち後に「ありがとうございました、またお越しくださいませ」を高頻度で言えずお客さんから3度見くらいされる
- 当時はなるべくレジ打ちから避けるようにしていた。
など、数えたら数知れずです。
吃音をどうやって克服したか
自分の場合、下記の方法を使って少しずつ吃音と向き合っていきました。
- 話す前に深呼吸をする。その吐く息に乗せるイメージで言葉を発する。
- はぁーーー、と深いため息をつく感じで息を吐いて脱力して、そのまま話したい言葉を話すようにします。
- ため息部分は話し相手に気づかれない程度に小さく行い、あくまで会話は自然になるようにする。
- 話す前にその言葉を頭で強くイメージしない。イメージすると「言わなきゃ!」とプレッシャーが掛かり返って言いにくくなるため。
- 言いにくい行を言わないといけないときは言いやすい行の子音を聞こえない音量で発してから話すようにする
- 例:あ行が90%言えない当時、ありがとうを言う場面の時→さ行は言いやすかったので「(sssぁ)ありがとうございます!」というイメージ。(sssぁ)は息を吐く感じで
- (sssぁぁ)ありがとうのときの()部分は人に聞こえないくらいの小さい声で発音します。そうすると相手からしたら「ありがとう」のみが聞こえることになるので自然な会話ができます。
- 一人でいる時に思いっきり先程挙げた3つのやり方の逆をやる。そして思いっきり詰まりまくる。
- 言葉には詰まるが、強引に話そうとしたら話せるタイミングが来るのでそれを反復して話せる回数を増やす。
- 例:「ありがとうございました!」が普段言えない時、深呼吸せず話す前に「今からありがとうございましたを言うぞ!」と強くイメージして言いやすい行から始めず最初から「あ」を発音するのを意識する。
- そうすると大体の確率で「あ、あ、あ、あ、ああああああ、あ、ありがとうございました!」となる。
- これを強引にやってるとどこかのタイミングで「ありがとうございました!」と言える。これを一人の時にやりまくる。なるべく大きい声でやったほうが改善率はよかったです。当時は1日50回くらい繰り返していました。
僕の場合、以上のような方法で最初は意識して、途中からほぼ無意識に使って克服していました。
今の状況
そんなこんなで今は気づけば28歳ですが、ほとんど吃音の症状は抑えられています。
ただ体感ですが、完全には治ってなく、たまに詰まったりどもったりする時があります。
特に今でも「な行」が苦手なのでな行の名前の人と話すときは上で挙げたテクニックを使いながら自然に話せるように工夫してます。
まとめ
少しでも体験したことある人はわかるかもしれませんが「言葉が出ない」「言いたいことが言えない」という経験は、深く胸に刻まれるものになりました。
当たり前と思ってたことができなくなる自分への自己嫌悪や周囲への羞恥心が日々募るものでした。
でも今思えばですが、自己嫌悪、恥ずかしいと思うのは違くてそういう個性がたまたま自分にあっただけでした。いいも悪いもなく事実としてあっただけ。
あとはそれとうまく付き合う自分なりの方法を模索するだけだと思ってます。
直したければ直すように頭を働かせて行動して、気にしてなければ特に気にしなくてもいいのかなと思います。
今回話したのはあくまで僕の話なので、個人差はあると思っています。
今吃音で悩まれてる方の何かしらのヒントになれば幸いです。